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【和歌山】和歌山市長 尾花正啓氏インタビュー まちの水辺が賑わう秘密は、30年前にあった

2017.11.13

人口約36万人の和歌山市。若者の県外流出が非常に多く、県単位で見ても、県外進学率は30年連続全国一。しかし、このまちが、今まさに大きな変貌を遂げようとしている。

まちなかの廃校を活用して軒並み大学を誘致し、水辺や駅前などの公共空間を利用した官民一体のリノベーションまちづくりなどが活発に行われているのだ。

詳しく教えていただこうと、尾花 正啓(おばなまさひろ)和歌山市長のもとへ伺った。

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第15代・和歌山市長として2014年8月に就任した尾花 正啓氏。
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市民の寄付で復元した和歌山城を背景に、市の幹部が並ぶ。
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インタビュアーは、Open A・東京R不動産の馬場 正尊。


官民連携の“リノベーションまちづくり

和歌山市の課題をダイレクトに解決する施策として、中心地から半径1km圏内における「まちなか3大学誘致」を実施。受け入れ場所は、廃校となる小・中学校だ。2018年から2021年の開校を予定し、総勢1280名の学生数の増加が見込まれている。

また、中心地では再開発とリノベーションによるまちづくりが同時並行で次々と進行。さらに、空き家や公共空間などの遊休資産を活かした地域の交流拠点も、民間主導・行政サポートにより多数誕生している。

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官民連携で実施している遊休不動産の活用提案プログラム「リノベーションスクール」。2015年の開催時に撮影した参加者全員の記念写真。和歌山市では、2014年より既に6回開催されている。
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和歌山市駅前の車道を歩行者空間に変え、緑と憩いの広場にする社会実験「SHI-EKI“GLEAN GREEN”PROJECT」。2015年より3回開催。(撮影:武内 淳)

馬場:
「和歌山市では商店街や水辺などを舞台に、若者を中心とした“リノベーションまちづくりが展開されています。リノベーションスクールの実績を見ても、地元参加率も事業実現率も日本一。今のまちの状況を、市長はどのように捉えていますか?」

尾花市長:
「遊休資産を活用しようという発想が若手にも浸透し、非常にうれしく思っています。特に最近では、個人の物件だけでなく、水辺や駅前といった公共空間を市民の憩いの場として活用する取り組みが増え、県外の方から注目をいただく機会も多くなりました。

今後は、この動きが点ではなく線となってつながってほしい。物件の持ち主と借りたい人との接点づくりは民間だけでは苦戦しがちですから、ここは行政のがんばりどころです」

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リノベーションスクールをきっかけに、2016年に誕生した日本酒BAR「水辺座」。川に背中を向けていた空きビルを活用して、川を表へと変える取り組み。(撮影:武内 淳)
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水辺座の窓から川を覗くと、手づくりのイカダが停泊しているのが見える。行政職員に尋ねると、民法上の緊急避難の扱いだとか(笑)写真は試験運行の様子。(写真提供:水辺座)


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年前が現在につながる、水辺の過去と未来

躍進的なまちづくりのなか、とりわけ興味深いのは水辺の使い方だ。内川という総称を持つ、市内を流れる5つの河川。かつては人々が憩う美しい川だったが、工場や生活排水により汚れてしまった。昭和40年代には内川を綺麗にしよう・楽しもうという民間主導・行政サポート型の活動が始まり、近年ますます加速している。

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2017年の9月末から11月初旬まで「ワカリバ」という水辺の社会実験にて毎日SUPレンタルを行っている。また、ぶらくり丁商店街で毎月開催される「ポポロハスマーケット」でSUPやカヌー体験ができることも。(撮影:友渕 貴之)
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「ワカリバ」のオープニングイベントの様子。特別ゲストにオペラ歌手が登場。水辺に美しい歌声が広がり、みんな飲めや歌えや大盛り上がり!(撮影:武田 健太)

馬場:
「和歌山市の水辺の活動は、実にユニークで活発です。若い世代を巻き込みながら、多彩な水辺の活用案が続々と実現されていて」

尾花市長:
「実は私自身、県職員時代はずっと河川の技術担当で、内川沿いに遊歩道をつくっていました。30年経った今、自由な発想で水辺を積極活用してくれる若者の姿を見ると、非常に感慨深いです」

馬場:
「なんと、今の風景のベースは市長がつくられていたんですか」

尾花市長:
「当時ウォーターフロント開発が流行り、『まちづくりは川から変えていこう!』という風潮がありました。しかし川沿いに遊歩道をつくってみたものの、当時は『家の裏を歩かれては困る』という周辺住民からの反対の声があがり、一部閉鎖せざるをえなくなったりと難しさがありました。

ようやく今、あのときつくった遊歩道が30年を経過して活かされることとなり、新しい形の河川利用が水辺で広がっていて、大変うれしく思っています。

水辺というパブリックスペースを安全に楽しく活用していきたい。せっかくつくった遊歩道なので、思う存分使ってほしいですね(笑)水辺が和歌山市の代表的な景観の一つとなり、日本においても類を見ない光景が広がる場所となるのではと期待しています」

【和歌山】和歌山市長 尾花正啓氏インタビュー まちの水辺が賑わう秘密は、30年前にあった
和歌山市の中心部を流れる「市堀川」沿いの遊歩道と駐車場を活用した約1カ月間の社会実験「ワカリバ」。今年2017年に実施。カフェを設置し、マルシェやヨガなどのイベントも開催した。


絶え間ないチャレンジが、まちの未来を変える

【和歌山】和歌山市長 尾花正啓氏インタビュー まちの水辺が賑わう秘密は、30年前にあった
内川クルーズが実施されることも。川の歴史について知識ある人の解説を受けながら、普段とは異なる角度でまちを捉え直す機会に。(写真提供:Wakayama Days)

馬場:
「尾花市長はかつて一人の若き行政マンだった頃、今の民間の若者たちが活躍するためのフィールドをつくっていたんですね。他の地域では水辺の活用案がうまく進まないことも多いのですが、和歌山市は30年前につくられたベースがある。だから今、こうやってスムーズに水辺の活用ができているのだと理解できました」

尾花市長:
「もちろん当時は、未来に向けて戦略的に行ったわけではありませんが、チャレンジを続けることは大事だと改めて感じています。なにより、昔から活動する地域の人々や最近加わった若い世代が、がんばってくれているからこそ迎えられた和歌山市の変化ですね」

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まちづくりイベント「ポポロハスマーケット」の一環で、フロート桟橋を設置。自由に楽しげに、水辺の活動が繰り広げられている。(撮影:武田 健太)

行政や市民の飽くなき挑戦が、目の前だけでなく数十年後のまちをも変えていく。このたび和歌山市長にインタビューさせていただき、まちに対して働きかけ続けることの大切さを再確認することができた。

和歌山市の最近の動きが気になる方は、ぜひ実際に訪れて、その目で確かめてみてはいかがでしょうか。LCCを使って行ける都市の数が日本一の関西国際空港からJR和歌山駅前まで、バスを使えば直通で約40分という意外な近さにも驚くはずです。

 

リノベーションわかやま
和歌山のまちなかの遊休ストックをリノベーション手法により再生し、魅力的なまちを目指す活動。実践的講座として「リノベーションスクール@和歌山」を開催している。

水辺座
3回「リノベーションスクール@和歌山」で誕生した日本酒バー。水辺をまちの表に変えることを目的として運営。

SHI-EKI“GLEAN GREEN”PROJECT
和歌山市駅前の通りを歩行者空間として数日間活用することで、公共スペースの可能性を検証する試み。

ワカリバ
水辺空間を活かしたまちづくりについての社会実験。官民連携で運営している「わかやま水辺プロジェクト」が期間限定で開催した。

ポポロハスマーケット
ぶらくり丁商店街で毎月第2日曜に開催されるマーケットイベント。かつての商店街の賑わいを取り戻す目的。

 

≫ 和歌山市が行っている施策の舞台裏については、姉妹サイト・公共R不動産「トップ・インタビュー」で詳しく紹介しています。

≫ こちらの記事に関するお問い合わせは、下記の電話番号または「問い合わせフォーム」よりご連絡ください。
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・公民連携担当:和歌山市役所 市長公室 政策調整部 政策調整課 073-435-1013
・リノベーションまちづくり担当:和歌山市役所 産業まちづくり局 産業部 商工振興課 073-435-1233
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