はじめます「お寺とお墓の山形散歩」。
身近なお寺に地元の謎が隠されていたり、先人のお墓に私たちの知らない物語が秘められていたり。そういったことはとてもありがちなことです。その意味では、お寺やお墓は、ふだんはあまり触れることのない歴史的魅力に出会うことのできる装置ともいえるでしょう。
実は、この国のお寺の数というのは、コンビニよりも多いそうです。現代の私たちはお墓参りのときくらいしか行くことはないのかもしれないけれど、暮らしや地域にとってはものすごく身近な存在なのです。
現代の私たちの考え方や生活のあり方、あるいは社会の捉え方は、江戸徳川の幕藩体制を引きずっているという「史観」もあるそうです。江戸の時勢に山形の市井のひとびとを統べるツールとなった「お寺」には、その土地のひとの根っこを探る秘密があるのかもしれません。
これ、なんのはなしかといえば、江戸初期にはじまった「寺請制度」という、実質、日本最初の人口調査となったお達しのことです。ざっくり言うと、「日本のすべての人間はどっかの寺の檀家になりなさい。寺はその帳面(宗門人別改帳)をお上に出しなさい」という命令ですね。
コンビニよりも多くそこかしこにあるとはいえ、お寺の門をくぐる機会はなかなかに少ないのかもしれませんが、その一軒一軒には、いまのやまがたの県民性に連なる政治や経済の物語であるとか、そこに眠る人の物語もまた静かに眠っていて、私たちはそれを知らずに今を過ごしているにちがいありません。それはとてももったいないことのように思います。
というわけで、「お寺とお墓の山形散歩」というシリーズを始めます。私たちのルーツ、そして山形のルーツを探るために、地元・山形のお墓とお寺巡りしていきます。このまちの新たな魅力の発見と、新たな観光資源の発掘につながっていくことを期待しながら。
その第1弾となるのは、光禅寺。最上義光の墓を訪ねます。
みなさん、どうぞ、お楽しみに。
この記事は、終活Webサイト「ハカライフ」のコンテンツ「寺、マイル」をもとに制作されています。こちらもぜひご覧ください。