「本の街」は作れるか? 郁文堂再生プロジェクト日記②
「本で人を結ぶ」クラウドファンディング開催中!
「クラウドファンディングはじめます!!!」
……と突然、本格的に始まった郁文堂書店の再生プロジェクト。
東北芸工大建築学科の追沼翼くんと芳賀耕介くんの活動もどんどん活発になっていきました。
その後、2人は、オーナー原田伸子さんとともに掃除をし続け、いつの間にかシャッターも軽々と開くようになりました。通りかかる人々も、「なにが出来るんですか?」「お店いつ開くんですか?」と聞いてくる。「やはり、街のみんながこのお店が気になっていたんだ……」と実感する日々。
オーナーの原田さんも追沼くんと芳賀くんに囲まれ、元気になっているのがよくわかる。真夏の暑い中、連日大掃除を楽しげにこなしているのを見て、ホッとしました。
「これは、まさに理想のカタチでは?」
僕も山形に住んでいるわけではないので、毎日お手伝いができないし、困ったときにすぐに飛んでもいけない。近くに住んでいて、ずっと関わり続けられる人がやるべきだと考えていたので、2人の計画は夢のよう。あとは、オープンした後の運営をどうやって継続させるか? が課題となってくる。
僕はといえば……、山形ビエンナーレが始まり、連日ドタバタと展示やイベントに追われる毎日。荻窪で運営しているブックカフェ〈6次元〉を七日町のカフェ〈BOTAcoffee〉の2階に期間限定出店。無人書店〈7次元〉として本で街と人をつなぐプロジェクト〈ブックトープ山形〉を開始しました。映画の上映、食のイベント、本の朗読会などを毎晩のように開催。郁文堂書店は歩いて1分という場所で、毎日お店の状況を気にしつつ、過ごすこととなりました。
また、山形県立図書館を複合する文化施設〈遊学館〉で本のお祭りを企画。朝から夜まで1日図書館を借り切り「山形×本」を心ゆくまで楽しむ本のフェス〈ブックトープフェス〉を開催。本のマルシェと図書館ワークショップで、街と人をつなぐ本の可能性を探るのがテーマでした。
その図書館でもトークの中で、面白いアイデアが参加者のみんなから飛び出しました。
「本×温泉」を掛け合わせたらいいのでは?
「本×芋煮会」をやれば、たくさん人が来るのでは?
「本×仙山線」がコラボして観光化すれば話題になるのでは?
など、斬新な意見がどんどん湧き出てきました。そんな中、気になる提案がありました。「本×神社」がコラボして、土地の象徴になるような本の神社を建立したらいいのでは? というアイデア。
やはり、この街には何かシンボルとなるような「磁場」が求められているのでは? そんなことを強く感じました。ここ郁文堂は、山形の歴史と文化そのもの。復活すれば、かなり大きなインパクトとなり、「街の顔」になる可能性を秘めているのです。
そして、9月最終日。すっかりきれいになった郁文堂は、1日限定で仮オープン。たくさんの地元の方々が訪れてくれました。みんな久しぶりに店内に入ることが出来てうれしそうです。
店内の一角をお借りして、移動書店〈7次元〉も古本を販売。来る人来る人が、たくさん本を買ってくれ、ビックリするほど大盛況。午後の数時間だけでしたが、100名ほどが来てくれて、みんな大喜び。
閉店間近になり、文翔館でのイベントが終わった荒井良二さんもかけつけてくれました。荒井さんも学生の頃、『平凡パンチ』を買っていた棚がそのまま残っているのを見てビックリ!
やはり、この芸術祭を通じて街が再生するというのは、何よりも大切なポイント。本当にうれしそうな荒井良二さんと原田さん親子を見て、こちらも心があたたかくなりました。
「街は、本と似ている。そして、本は街と似ている」
山形での活動を通じて、ずっと言っている言葉ですが、郁文堂ほど、物語がある場所はなかなかありません。そこにあるだけで一冊の本のように感動を味わえる場所。この後、いったいどんなお話がはじまるのか? 楽しみで仕方がありません。
しかし……、クラウドファンディングは無事に成功するのか??
もし、失敗したらどうなるの?
まだまだ始まったばかりの郁文堂書店再生プロジェクト。東北芸工大の追沼翼くんと芳賀耕介くんの活動から目が離せません!
(「本の街」は作れるか? 郁文堂再生プロジェクト日記③へ続く)