もてなしと振る舞いの「蕎麦打ち」/山形市双葉地区・礫石集落
山形の蕎麦の文化が豊か過ぎます!
山形市中心街からクルマで西へ向かうこと約20分。いつのまにか標高の高い場所へ、山道をのぼっていた。辿り着いたのは、山形市双葉地区の礫石(つぶていし)という名の静かな集落だった。
この日は、旅行会社企画による山形体験ツアーが実施されており、県外からのツアー参加者30名がこの礫石集落を訪れていた。地元の人たちと参加者たちとの集合場所となったのは、地元の人たちがお祭りや会議などを行う「集会所」。そういえば、山形市のいろんな町内にこうした公民館や集会所という施設らしきものがあるのをちらちら見かけたような…。集落の人たちが楽しく交流する場所、というわけだ。
さて、県外からのお客さんたちに対して、礫石集落の人たちが用意したのは「蕎麦打ち体験」。山形はとにかく蕎麦を愛する「蕎麦の国」。自分の手で蕎麦粉を練って、伸ばして、畳んで、切って、茹でて、盛り付けて、いただきましょう!という素晴らしい体験企画だ。
礫石のおじさまたちは「集落を活気あるものにするために」という目的で、30年近くも前から、「集落のみんなで蕎麦打ちをやって、祭りでみんなにもてなそう」と蕎麦打ちに取り組んできたのだそうだ。この集落のほとんどの家庭には、蕎麦打ちができる人がいるのだという。
山形の蕎麦屋では「板そば」という細長い木箱のような器に盛られたざるそばをよく食べるが、あれは昔からこの山形の地に伝わる蕎麦の食べ方で、もともとは集落の人たちが共同で農作業などを無事に終えた後に振る舞われ、みんなで箸をつまんだものだと言われている。地元の仲間たちとの触れ合いや連帯感を育むものであったのかもしれないし、豊作を祝い、感謝する意味もあったのかもしれない。
蕎麦を打ち、茹で、みんなで食べる。
こんなおもてなしも、山形の集落に隠されていました。