【長野】鳥の止り木のような心地よさを感じるカフェ Cafe Bird
長野市の権堂アーケードを進んでいくと、ガス灯風のレトロな街灯が目を引く秋葉横町という小道があります。先へ進むとケーキ屋さんや料亭、さらには小さなスナックが所狭しと軒を連ね、さらに進んだ路地裏の小さな店が、今回紹介するCafe Birdです。
店主の永美麻子さんは調理師専門学校を卒業後、大阪にあるいくつかの飲食店で10年間修業を積みました。特に最後に勤めたフレンチビストロの店で、今まで知らなかったフレンチの世界を知ることができたと言います。しかし体調を崩して実家に戻り、長野市にある老舗のレストランでサービスの経験を重ねました。
「それまではシェフのペースに合わせて料理をしてきたけれど、サービスの立場ではお客様のペースで物事を考えるようになりました。フロアと調理場を俯瞰して見ることができるようになったので、調理から離れてみる時間があって良かったです」
こうして3年が過ぎた後、いつかは自分の店をという想いに向けて店の場所探しを始めるように。当初は長野駅前で物件を探していたものの、広さや家賃など見合うものが見つからずにいました。そんな時に紹介してもらったのが権堂町の路地裏にある空き店舗でした。北向きで最初こそ良いイメージが無かったものの、自分たちで好みの空間に改修しました。
「店の外からどんなお店だろうと覗いた時に、店主が男性か女性か分からないような空間にしたいという思いがありました」という言葉どおり、真っ白い壁に配置されたテーブルなどはすっきりとした雰囲気で、男女問わず受け入れる空間が生まれています。
カウンターと3つのテーブル席だけの小さな店内は、永美さん1人でも目が行き届く広さです。
提供する料理は永美さんが大阪で修業時代に出合って感動したというナチュラルワインを軸に、フレンチベースの前菜やお肉料理などを提供しています。1人で営む店ゆえメニュー数には限りがありますが、どれも出された瞬間に心が躍るような盛り付けです。
「お店に来てくれた人の気持ちに寄り添える店でありたい」
そんな想いに惹かれて、行きつけのスナックに行く前に1杯飲みに立ち寄る人、Birdの肉料理を気に入って必ず注文していく人、奥のテーブル席でボトルでワインを頼んで大切な人との時間を楽しむなど、幅広い年齢層が思い思いの時間を過ごしに訪れます。店名にある鳥の止り木のように、つい立ち寄ってしまう心地よさがあるのでしょう。