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金工アトリエ&ショップ〈汽水域〉

彫金師 太田崇史さん・藍さん

山形市中心街でいま注目を集める七日町のシネマ通り。エリアリノベーションとして、「点」(店や拠点)から変化を起こし、それが集まり大きな面(まち全体)へ広がりをみせています。

そんなシネマ通りにて、〈とんがりビル〉〈BOTA coffee〉〈郁文堂書店〉に続く新たな「点」が生まれました。

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シネマ通りを東に向かい、とんがりビルを過ぎて3分ほど歩くと、レトロな外観のお店が見えてきます。

こちらは彫金師の太田崇史さんと藍さん夫妻の金属工芸ショップ〈汽水域〉。

彫金師の太田崇史さんとアーティストの太田藍さん
彫金師の太田崇史さんと〈汽水域〉店主の太田藍さん

1階には崇史さんの作品や、その他の作家によるアクセサリー、セレクトした日用雑貨が並び、2階のアトリエスペースでは、ワークショップが行われます。

山形市出身の崇史さんが京都からUターンして、藍さんと共に始めた新事業。2017年9月にオープンしたばかりの〈汽水域〉に、さっそくお邪魔しました。

太田さんのご実家にあった年代物の家具を什器に、作家のアクセサリーや日用雑貨がならぶ
太田さんのご実家にあった年代物の家具を什器に、作家のアクセサリーや日用雑貨がならぶ

──金工を始めたきっかけは?

崇史さん:実家が鋳物で有名な銅町と宮町の境目あたりで代々続く、鋳物の装飾師でした。祖父の代まで鉄瓶の持ち手、かんざしや煙管、神社やお神輿の金具の装飾を手がけていたそうです。

父の代で一度途切れたのですが、身近に金属がある環境で育ったせいか、金工に興味がわくようになり、大学を中退して、京都伝統工芸大学校に入りました。卒業後も京都に残り、工房で工芸品の制作・修理・彫金による加飾や、アクセサリー制作をしてきました。

はがねを金属に当てて、模様を彫っていく
鏨(たがね)を金属に当てて、模様を彫っていく

──山形へ戻ってきたきっかけは?

崇史さん:具体的なきっかけは〈郁文堂書店〉(※)でした。

京都暮らしも12年が過ぎ、そろそろ帰ろうかと思っていた頃に、友人のSNSを通じて郁文堂プロジェクトを知り、「あ、タイミングかな」って直感したんです。

※ 東北芸術工科大学の学生が立ち上げたプロジェクト。閉店していた歴史ある七日町の書店をリノベーションで再びオープンさせた

というのも、ぼくは七日町近くの高校出身で、学生時代にシネマ通りにはよく遊びに来ていました。当時はまだ映画館があって、いまより賑わっていました。

しかし大人になってからは、帰省するたびに人通りが少なく寂しい印象があって。自分がお店をやるならこの界隈にしようと決めていました。

福岡出身の藍さんは、これからの東北暮らしが楽しみだと話す
福岡出身の藍さんにとっては初めての東北暮らし。これからが楽しみだと話す

崇史さん:12年も山形から離れていたので不安なことも多かったのですが、〈とんがりビル〉、〈BOTA coffee〉の存在も知り、若い人がつくるおもしろい流れがあるいま、一緒にやってみたいと思うようになったんです。

藍さん:実は、お店をオープンする前から、告知や挨拶をかねて、郁文堂の作家ブースに商品を置かせてもらっていました。郁文堂の伸子さんも学生さんもみなさん親切で、わたしたちの顔を知っている人が同じ通りにいてくださるというだけで、心強く感じました。

高知の作家・片岡徹さんのアクセサリー
高知の作家・片岡徹さんのアクセサリー

──1階のショップについて教えてください

藍さん:汽水域の作品、つながりがある作家さんのアクセサリー、そして文具、箸、植物など日用雑貨もセレクトしています。

リングの制作や生活雑貨への彫刻など、各種オーダーも受け付けます。最近では、バイクの金属部分に唐草模様を入れたいと注文をいただくなど、金属系の加工に関して、幅広くご相談を承っています。

2階のアトリエ。もともとカラオケバーで、音が漏れにくい構造。作業の音が響く金工のアトリエに適した物件だった
2階のアトリエ。以前はカラオケバーだったというから驚き

──2階のアトリエでは、制作とワークショップが行われるのですね

崇史さん:いま山形の仕事も請け負っています。学生時代に地元の工芸をリサーチしたことをきっかけに、祖父と一緒に仕事をしていた鋳物職人のみなさんとつながることができました。地元に帰って近所の鋳物屋さんと仕事ができるのは、すごく嬉しいことです。

作業台を3人分設置しているので、ワークショップも計画しています。2時間ほどで完成する指輪づくり、ブックエンドやトレイ、夏場だったらアイスクリームスプーンなど、日常的に使えるものをテーマにしたいです。

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崇史さん:レンタル工房として、アトリエを使ってもらうことも考えています。

卒業してすぐの学生さんや、これから本格的に金工をやっていきたい方が設備を整えるのは難しいかもしれません。ここには金属を薄くのばしたり、穴を開ける道具や金槌も多種そろっているので、うまく活用していただけたらと思います。

石に見立てた銅の植物立て。ショップでは、金工のサンプルがいくつも見られる
崇史さんが手がけた、石に見立てた銅の植物立て。ショップでは、金工のサンプルがいくつも見られる

──汽水域って素敵なネーミングですね。どんな意味を込めていますか?

崇史さん:「汽水域」とは海と川とが交わる部分のこと。このショップも、つくる人と使う人の間になったり、なにかの接点になりたい思いがあります。

藍さん:ワークショップに参加すると、使う人がつくる側を体験できる。ショップには市販のプロダクトと作家さんの一点物をセレクトして混ぜて置いているし、立地的にもシネマ通りの端っこで、寺町方面と交わるところでもある。

ギャラリーのように、棚を一列貸し出すなど参加型の企画を立てて、山形の作家さんや職人さんとつながりたい思いもあります。いろんな意味で、みなさんにとっての汽水域になれたら嬉しいです。

名称

汽水域

URL

https://www.kisui-iki.com/

Instagram: kisui_iki
Facebook: kisui.iki.craft.and.shop
twitter: @kisui_iki

住所

山形県山形市七日町二丁目6-13

TEL

Tel: 023-609-9406
e-mail: craft_and_shop@kisui-iki.com

営業時間
11:00~19:00
定休日

木曜日 

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